☆Shining☆

そう 大きな夢に囲まれて・・・
出来ないこと、何もないと信じて進んできた…
道は長くて、何度もつまづいた。だから忘れない!

流した涙の数…




・・・オーディション会場

人の声が酷いノイズとなって通り抜けていく。
其れは人が多い証拠だ。
此処はとあるオーディション会場。
浮かれた4人の女性が其の雑音に交わらせるかのように、
和気藹々と話をしていた。

「さーて!今日が本番だね!練習の成果を見せつけよー!」

一際張り切っている美沙。

美沙はこの女性4人で構成されたバンドメンバーの
ボーカルを担当する女の子だ。
バンドの名前は「☆Shining☆」
「光輝く」という意味でつけられたこのバンド名。
何時どんな時でも、最高に光輝いていよう。
そんな意味でつけられた名前だ。
そんなバンド名に皆は共感していたし、
皆其れをモットーに頑張ってきた。

そして今日、オーディションというカタチで、
其れを示しにきた、というわけだ。


勿論、4人が目指すのは「優勝」の二文字。
このオーディションで優勝すると、
デビューと共にCD販売も約束されている、
毎年恒例の大規模なオーディションなのだ。

美沙達は過去に幾つかのオーディションを受けてきた。
だが其の総てに満足のいく結果にはならなかった。

バンドを結成したのは丁度今から5年前。
初めてオーディションに参加したのは結成から丁度1年後。
だから今年でオーディションは4年目となる。
初めは堕ちて当然だと思っていたし、
諦めはついていた。
だが、ずっとバンド活動をしてきて、4年目となれば、
次第にメンバーにも焦りの色が出てくるのは間違いないのだ。


・・・予選。


珍しくも今回は予選を何なく通過してしまった。
メンバーはより一層声を高らかにして喜びを分かち合う。
其の光景は、バンド結成時の初々しい姿を連想させていた。

此処に着て、皆の願いは一つとなった。

「優勝」

其の二文字だけが皆を前へ歩ませていた。
決勝の採点はシンプルなもので、
決勝に残った二組の歌を聴き、
どちらがいいかを観客に投票してもらい、
其の数値の高い方が優勝、というものだった。


彼女等はこの日の為に作った歌の練習に励んでいた。
時間が迫るにつれてメンバーに焦りの色が浮かんでいた。
だがそんな時に、皆はバンド名のように、
どんな事にも負けない、そんな思いだけを抱いて、
決勝へと挑むのだった。


決勝はうまくいった。後は結果を待つだけだった。
30分ほど経過した時、審査員が結果を発表する。


「優勝は・・・☆Shining☆の皆さんです!」


其れを聴いたメンバーは其の場に倒れ込んで泣いてしまった。
本当に此れは現実なのだろうか?
本当は夢なんじゃないだろうか?
でも目の前には彼女達に拍手が送られていた。
そんな光景を見て、此れは夢じゃないんだと確信する。

「ありがとうございます!ありがとうございます!」

涙でぐしゃぐしゃになっている顔をみせながらも、
今出来る精一杯の感謝の気持ちを伝えていた。



バンド結成、初めは色んなアーティストのコピーをしていた。
次第に作詞をしたり、作曲をしたりで、
自分達で音楽を造りあげてきた。
楽しかった。皆で一つの音楽を造るという事が。
楽しかった。皆で一つの音楽を奏でることが。
地方のオーディションに参加した時も、
予選で落ちてしまったけれど、其れでも頑張ろうって、
そうやって頑張ってきた。
時には挫折して、解散の話まで出ていた。
でもメンバーの誰もが、このバンド以外で
活動しようと思ってる人は誰一人としていなかった。
皆の願いは一つだった。
このメンバーで音楽を続けるんだ。
其れが一番楽しい事なんだって。
振り向く暇なんてない。ただ私たちは夢へ突き進むだけ。
其れにすべてをかけて・・・。

ただ其れだけだった。



・・・一年後。


今日は☆Shining☆のデビュー。
ステージに上がると其処には数え切れない位の人が居た。
彼女等がステージに上がっただけで、
ステージは大きく揺れていた。


此れが初舞台。
此れが私達の望んだ空間。
此れが・・・私達の夢・・・。


緊張や焦りは其の瞬間になくなってしまった。
今までの事を総てこのステージにぶちまけてしまいたい。
今までで、一番最高の歌を皆に聴かせてあげたい。
其の一心だけ・・・。


「今日は来てくれてありがとー!
皆さんに、最高の歌を届けたいと思います。
聴いて下さい・・・☆Shining☆」

そうしてゆっくりマイクを近づけて、
今までの思い、総て詰め込んで。


大事な何かがワカッタあの Sunny Day!
ホントの優しさ 楽しさ 覚えた日

Days 何よりも夢中になってた
時間なんてどうだってヨクて
遠い日々が懐かしい…

もう 最高潮に楽しくて 消えない声 尽きない話 いつも光ってた頃…

自信もついた 失敗も何度もした だけど忘れない 暖かかったあの頃

大事な何か見失った Rainy Day
悔しさ もどかしさ 涙も覚えた日

大事なこと教えてもらったShiny Day
支えられた そして信じられたんだ…

Days いつまでも走り続けた
振り向くヒマなんてなくて
輝く未来へ向かってく