「変わらぬ桜の木」


もう一度、あの頃に戻れるなら
誰よりもキズつきやすく、純粋な君を
優しさに満ち溢れた小さな手を
掴んだまま、離したりはしないのに...


失う怖さを知らなかった...
そんな幼い僕はまだ
過去を引きずりながら
もう一度、あの頃になんて...


「今年も沢山の桜が咲きました
二人手を取り合って見上げたあの桜もまた
去年と変わらない美しい姿でした」


もう一度、あの頃に戻れるなら
誰よりも美しく、綺麗な桜のような君と
また手を取り合って、あの時の桜の木を
ずっと、ずっと見ていたい...


空一面に広がった桜の花びらに
微かに映る君の姿


「今年も沢山の桜が風に乗って
新しい春の始まりを伝えにきました
去年と変わらない、美しい桜でした」


咲き乱れた桜に見送られながら
あの頃の道をまた、歩き出します



poem by 神無月ヒカル